投資信託について調べてみると世界経済は右肩上がりで成長する
って聞くけど本当かなー?
理由が分からないとイマイチ信用できないよね
今回は「経済は成長し続ける」の理由について一緒に調べてみよう!
投資信託について調べていると世界経済は右肩上がりで成長するため長期投資が有利とよく目にします。
この「世界経済は右肩上がりで成長する」ことはもはや周知の事実のように語られることが多いですが,至る所で不景気だと聞くのに本当なの?と疑問に思いますよね?
今回は長期投資の前提となっている「経済は成長し続ける」の根拠について分析します。
経済が成長するとは?
「経済が成長する」とはどのような意味,状態を指すのか見ていきます。
始めに「経済」という言葉から読み解いていきますが,「経済」は以下のように定義されています。
「経済」
引用:デジタル大辞典
人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動。また、それらを通じて形成される社会関係。
言葉の定義に従うと,メーカーが製品を製造して販売する,顧客がその製品を購入して利用するといった私たちが普段何気なく行っている生産・消費活動が「経済」であり,その売買によって成り立つ関係を「経済」と呼びます。
この「経済」が成長するということは,言葉の定義を借りて表現すると「人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動」が成長することであると言えます。
つまりどういうことかというと,経済が成長するというのは生活に必要な財貨・サービスが世に溢れた状態であり,かつ,誰でもその製品・サービスを手に取り,消費することができる状態になることとなります。
消費が活発になると値段が高くても商品が売れる状態となるため,消費に比例して物価の上昇が起こるとされています。投資に用いられる株や債券なども物価上昇の影響を受けるため,経済成長中の長期投資は利益が出やすいと言われています。
経済はGDP(国内総生産)という指標で表される
経済は「人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動」と定義されますが,その程度についてはGDP(国内総生産)という呼ばれる指標で表すことができます。
GDP(国内総生産)は「民需」「政府支出」「輸出」の合計から「輸入」を差し引いた値であり,「国内で一定期間の間に生産された財・サービスの付加価値の合計金額」を表します。
例えば,あるメーカーが原材料を8億円で購入し,その原材料から車を生産したとします。
この車を10億円で販売したとすると,メーカーは生産販売によって10億円ー8億円=2億円の付加価値を生み出し,顧客が消費したとなります。
このようにGDPは国内の生産と消費の金額を表すため,経済状況を読む指標として活用されています。
つまり,このGDPの値を確認することで「経済は成長していくのか?」の疑問を解消することができます。
GDPは上がり続けるのか?
「経済が成長する」ということは「GDPが上がり続ける」ということとなりますが,現状,GDPは上がり続けるものとされています。
GDPは「国内で一定期間の間に生産された財・サービスの付加価値の合計金額」と示しましたが,
見方を変えると「GDP」=「国民一人が生み出した付加価値(生産性)」×「人口」と表現することができます。そうした場合,この「生産性」「人口」にGDPは上がり続けると言われる理由があります。
理由① 人口増加が予想されるから
「GDP」=「国民一人が生み出した付加価値(生産性)」×「人口」で見た場合,人口が増加するとそれに伴ってGDPも上昇すると考えることができます。
そこで世界の人口予想について見てみましょう。
人口推移予測
出典 国際連合経済社会局 データブックレット 世界人口推計 2019年版
国連が発表している人口推移予測によると,今後も人口は増え続けると予想されており,2100年をピークとして現在の77億人(2019年時点)から110億人への増加が見込まれています。
2100年までで人口は約1.5倍です。「GDP」=「国民一人が生み出した付加価値(生産性)」×「人口」の式に当てはめて考えると,GDPは人口の増加という要因のみで約1.5倍に膨れ上がる可能性があると判断することができます。
人口予測については大きな事件でも起きない限り,急激に減少するということは考えづらいため,この人口増加が影響することで「GDPは上がり続ける」と言われています。
理由② 新興国の勃興・先進国の技術開発により生産性向上が見込まれるから
「人口」が増加すると推測される一方で「生産性」についても今後上昇が予想されています。
そう予想されている理由の一つが「新興国の勃興」です。
国内で生まれる付加価値の多くは,働く世代(25-64歳)の勤労によって生み出されています。そのため,この働く世代の割合が高いほうが国としての生産性も高く,GDPが上昇すると考えられています。
働く世代(25-64歳)比率の地域別推移
出典 国際連合経済社会局 データブックレット 世界人口推計 2019年版
上記は25-64歳の人口比率の推移を地域別に予想したグラフです。
このグラフを見るとサハラ以南アフリカやオセアニア,南アジアでは働く世代の割合が急激に上昇すると予想されており,生産性向上の機会を控えていることが分かります。
この働く世代の割合が増大する期間は「人口ボーナス(期)」と呼ばれ,日本を先進国まで押し上げた高度経済成長期はこの人口ボーナスに支えられて発生したと考えられています。
そのため,高度経済成長期のような時期を迎える新興国が今後の経済成長を牽引し,世界のGDPを押し上げると推測されています。
2つ目の理由は「先進国の技術開発」です。
働く世代の比率を見ると,アメリカ(Europe and Northern America)や中国(Eastern and South-Eastern Asia)などの経済大国では今後,働く世代の比率が減少すると予想されており,その分生産性が低下してしまうのではないか?と疑問に感じるかと思います。
確かに働く世代の減少はGDP低下の要素となりますが,先進国では技術革新による生産性向上によりGDPが上昇または維持されると考えられています。
日本の人口推移予測
出典:総務省 平成30年版 情報通信白書のポイント
日本の場合,少子高齢化及び人口減少が社会問題となっており,2010年頃をピークに総人口,15~64歳の働く世代ともに減少の一途を辿っています。
人口,働く世代が減少しているとなるとGDPは低下しているように思えますが,実際にGDPの推移を見てみると2011年以降は増加していることが分かります。
日本のGDP推移
資料:NIPPONの数字 出典:内閣府「国民経済計算」
なぜGDPの上昇が見られるかというと技術開発による生産性の向上が寄与していると考えられます。
近年,「働き方改革」という言葉を耳にする機会が増えましたが,日本を始め,人口減少が著しい国では生産性向上に力を入れ,対策を進めています。一方の企業においても事業投資を積極的に進めており,新たな付加価値・収益基盤の創出,原価低減への取り組みを行っています。
これら国,企業の生産性向上の活動が0にならない限り,生産性が低下することはまず考えづらいため,「生産性」についても今後上昇し続けると推測されています。
主要国における生産性の推移
資料:日本経済と生産性 ─大和総研日本経済予測第200回記念コンファレンスでの特別講演─
出典:OECD「Level of GDP per capita and productivity」
ちなみに主要国における生産性推移は上図の通り。過去40年に渡り,世界各国の生産性は上昇し続けており,今後もその流れは続くと想定されています。
まとめ
投資の前提となっている「経済は成長し続ける」について,その根拠を分析しました。
経済はGDP(国内総生産)と呼ばれる指標で表すことができ,このGDPは「生産性」×「人口」で表現することができます。
今後,世界経済では「生産性」「人口」ともに向上・増加が予想されており,これらの増加が要因となってGDPは増加していくと予想されています。
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